SM490の特性と許容応力を徹底解説|構造用鋼材の性能と設計の完全ガイド

SM490の特性と許容応力を徹底解説|構造用鋼材の性能と設計の完全ガイド
構造用鋼材として広く使用されているSM490は、建築や橋梁、機械構造物などに欠かせない重要な材料です。この記事では、SM490の特性や許容応力を中心に、その構造的な性能と設計での活用ポイントを徹底解説します。
SM490とは|構造用鋼材の代表格
SM490はJIS規格「JIS G 3106(溶接構造用圧延鋼材)」に規定される鋼材で、「SM」は「Steel for welded structures(溶接構造用鋼)」を意味します。「490」は引張強さ(MPa)の下限値を表し、490N/mm²クラスの強度を持つことから名付けられています。
SM490の主な用途
- 建築構造物(ビル、プラント、橋梁など)
- 産業機械や大型フレーム構造
- 船舶・車両構造
特に溶接性に優れているため、構造物の接合部が多い設計に最適です。
SM490の化学成分と機械的性質
SM490は適度な炭素量(約0.18%)を含み、マンガンやシリコンを添加することで強度と靭性をバランス良く確保しています。以下の表に、代表的な化学成分と機械的特性を示します。
項目 | SM490A | SM490B | SM490C |
---|---|---|---|
炭素(C)% | ≤0.18 | ≤0.18 | ≤0.18 |
マンガン(Mn)% | 0.50〜1.60 | 0.50〜1.60 | 0.50〜1.60 |
降伏強さ(MPa) | 325以上 | 355以上 | 355以上 |
引張強さ(MPa) | 490〜610 | 490〜610 | 490〜610 |
伸び(%) | 20以上 | 18以上 | 18以上 |
SM490Aは汎用、SM490B/Cは衝撃値を高めた高靭性タイプで、低温環境での使用にも適しています。
SM490の許容応力とは?
許容応力とは、材料が破壊や塑性変形を起こさずに安全に使用できる最大応力のことです。SM490の許容応力は、用途や構造基準により異なりますが、以下が一般的な目安です。
応力種別 | 許容応力(N/mm²) | 備考 |
---|---|---|
引張・圧縮応力 | 165〜235 | 構造種別により異なる |
せん断応力 | 95〜135 | 接合部や梁など |
曲げ応力 | 195〜255 | 建築構造で一般的 |
設計時の考慮ポイント
- 許容応力は安全率(約1.5〜1.7)を考慮して設定
- 構造種別(静的・動的)や温度条件によって調整
- 建築構造ではJIS・JASS規格に基づく値を採用
なお、構造用途では「JIS G 3106」を参照すると、材質選定の精度を高められます。
SM490と他の構造用鋼材の比較
SM490は強度と靭性のバランスが良いことから、同等の構造用鋼材であるSS400やSM400と比較して優れた性能を発揮します。
鋼種 | 引張強さ(MPa) | 降伏強さ(MPa) | 特長 |
---|---|---|---|
SS400 | 400〜510 | 245以上 | 一般構造用、コスト重視 |
SM400 | 400〜510 | 245〜275 | 溶接性良好 |
SM490 | 490〜610 | 325〜355 | 高強度・高靭性、溶接性も良好 |
SM490の選定が推奨されるケース
- 高荷重・大スパン構造物
- 地震や振動に耐える設計
- 溶接接合が多いフレーム構造
よくある質問(FAQ)
さらに詳しいデータは日本鉄鋼連盟が公表する技術資料を参考にできます。
詳しい比較表は構造用鋼材の比較ガイドで紹介しています。
まとめ|SM490の特性と許容応力を理解し、最適な設計を
SM490は、構造用鋼材の中でも強度・靭性・溶接性のバランスに優れた万能鋼材です。設計では許容応力を正しく理解し、用途に応じて最適なグレードを選定することが重要です。