RoHS(ローズ)指令とは?規制対象となる10物質を詳しく解説
RoHS指令は、電気電子機器に含まれる特定有害物質の使用を制限する欧州連合(EU)指令です。この導入文では、RoHS指令の概要、規制対象となる10物質の詳細、対象製品一覧、各国への対応状況などをわかりやすく解説していきます。
本記事を通して、RoHS指令の理解を深め、電気電子機器の開発・製造・販売に役立てていただければ幸いです。
RoHS(ローズ)指令の概要とは?規制対象となる10物質を詳しく解説
RoHS指令(ローズ指令)とは、電気・電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限を定めた欧州連合(EU)指令のことです。2003年2月に施行され、鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、ポリ臭化ビフェニル(PBB)、ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)の6物質を規制対象としていましたが、2011年7月の改正で、フタル酸ジ(2-エチルヘキシル)(DEHP)、フタル酸ブチルベンジル(BBP)、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ジイソブチル(DIBP)の4物質が追加され、計10物質が規制対象となりました。
本記事では、RoHS指令の概要と、規制対象となる10物質の詳細について解説します。
- RoHS指令の基本
- RoHS指令の制定背景
- RoHS指令とREACH規制の相違点
- RoHS指令とWEEE指令の相違点
- RoHS指令で規制される10物質の詳細
- RoHS指令の対象製品一覧
- RoHS指令における「鉛」の適用除外
- 各国のRoHS指令への対応
これらの内容については、各見出しで詳しく説明していきます。
RoHS指令の基本
RoHS 指令とは、電気・電子機器における特定有害物質の使用制限に関する欧州連合(EU)指令です。正式名称は「電気・電子機器における特定の有害物質の使用制限に関する指令」であり、英語では Restriction of Hazardous Substances Directive と呼ばれます。
RoHS 指令は、2003 年 2 月 13 日に発効し、2006 年 7 月 1 日から施行されました。その後、2011 年 6 月 8 日に改正され、RoHS2 指令として施行されました。
RoHS 指令の目的は、電気・電子機器から特定の有害物質を排除することによって、以下のことを実現することです。
- 人間の健康の保護
- 環境の保護
- 資源の有効活用
RoHS 指令は、以下の 10 物質を規制しています。
物質名 | 英語名 | 記号 |
---|---|---|
カドミウム | Cadmium | Cd |
水銀 | Mercury | Hg |
6 価クロム | Hexavalent chromium | Cr(VI) |
鉛 | Lead | Pb |
ポリ臭化ビフェニル | Polybrominated biphenyls | PBBs |
ポリ臭化ジフェニルエーテル | Polybrominated diphenyl ethers | PBDEs |
ビス(2-エチルヘキシル)フタル酸エステル | Bis(2-ethylhexyl) phthalate | DEHP |
ブチルベンジルフタル酸エステル | Butyl benzyl phthalate | BBP |
ジブチルフタル酸エステル | Dibutyl phthalate | DBP |
ジイソブチルフタル酸エステル | Diisobutyl phthalate | DIBP |
RoHS 指令は、以下の場合に適用除外されます。
- 医療機器
- 監視・制御機器
- 研究開発用機器
- 航空機
- 軍事機器
RoHS 指令は、電気・電子機器の製造業者に以下の義務を課しています。
- 規制対象物質の使用制限
- 技術文書の作成
- CE マーキングの添付
- 適合宣言の発行
RoHS 指令の対象製品は以下のとおりです。
- 大型家電
- 小型家電
- IT 機器
- 消費財
- 照明器具
- 電気・電子工具
- おもちゃ
- 医療機器
- 監視・制御機器
- 研究開発用機器
RoHS 指令への対応には、以下のことが必要です。
- 規制対象物質の使用状況の確認
- 規制対象物質の代替物質の選定
- 技術文書の作成
- CE マーキングの添付
- 適合宣言の発行
RoHS 指令は、電気・電子機器から特定の有害物質を排除することを目的としています。RoHS 指令への対応には、規制対象物質の使用状況の確認、代替物質の選定、技術文書の作成、CE マーキングの添付、適合宣言の発行が必要です。
RoHS指令の義務とは?生産者に課される要件を解説
RoHS指令は、電気・電子機器に含まれる特定の有害物質の使用を制限する規制です。この指令は、製造業者や輸入業者に以下の義務を課しています。
- 対象製品の設計・製造時に、RoHS指令で規制されている物質の使用を避けること
- 対象製品に含まれる物質を分析し、RoHS指令で規制されている物質の含有量が基準値以下であることを確認すること
- 対象製品にCEマークを付与し、RoHS指令に適合していることを示すこと
- 対象製品の技術文書を作成し、10年間保管すること
- 対象製品の適合証明書を作成し、2年間保管すること
これらの義務は、RoHS指令で規制されている物質が環境や人体に悪影響を与えることを防ぐことを目的としています。
生産者は、上記の義務を履行するために、以下の取り組みを行う必要があります。
- サプライヤーとのコミュニケーションを強化し、RoHS指令で規制されている物質の使用状況を把握すること
- RoHS指令で規制されている物質を含まない材料や部品を選択すること
- 生産プロセスを管理し、RoHS指令で規制されている物質が製品に混入しないようにすること
- 検査を実施し、製品がRoHS指令の基準を満たしていることを確認すること
生産者は、これらの取り組みを通じて、RoHS指令の義務を履行し、環境や人体への悪影響を防止することができます。
RoHS指令の制定背景
RoHS指令(Restriction of Hazardous Substances Directive)は、電気電子機器における特定有害物質の使用制限を定めた指令です。2003年2月に欧州議会で採択され、2006年7月1日から施行されました。RoHS指令の主な目的は、電気電子機器から鉛、カドミウム、水銀、六価クロム、ポリ臭化ビフェニル(PBB)、ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)など、人や環境に有害な10種類の物質を排除することです。
RoHS指令の制定背景には、以下の要因が挙げられます。
- 環境汚染の懸念:電気電子機器は、廃棄されると有害物質が環境に放出される可能性があります。RoHS指令は、有害物質の使用を制限することで、電気電子機器の廃棄による環境汚染を防止することを目的としています。
- 人への健康被害:RoHS指令で規制されている10種類の物質は、人体に有害な影響を与える可能性があります。RoHS指令は、有害物質の使用を制限することで、人への健康被害を防ぐことを目的としています。
- 欧州市場の統一:RoHS指令は、欧州市場における電気電子機器の安全性と環境保護を確保するために制定されました。RoHS指令の施行により、欧州市場では有害物質を含まない電気電子機器のみが販売されるようになりました。
RoHS指令の制定により、電気電子機器の安全性が向上し、環境汚染の防止にも貢献しています。また、RoHS指令は、世界各国に電気電子機器における有害物質規制を導入するよう促しており、有害物質の使用制限の国際的な動きを加速させています。
RoHS指令とREACH規制の相違点
RoHS指令とREACH規制はどちらも有害物質の規制を目的としていますが、適用範囲や規制物質、目的などが異なります。
RoHS指令は、電気電子機器における10種類の有害物質の使用を制限する規制です。これらの物質は、人体や環境に有害であるとされ、2006年7月からEU域内で販売されるすべての電気電子機器に適用されています。
一方、REACH規制は、化学物質全般、約3万種類の登録を義務付け、またEU域内の製造・輸入量に応じて物質の安全性に関する情報を登録を義務付けるものです。REACH規制は、化学物質のリスク評価と管理を目的としており、2007年6月1日から適用されています。
RoHS指令とREACH規制の主な相違点は以下の通りです。
RoHS指令 | REACH規制 |
---|---|
電気電子機器 | 全ての化学物質 |
10種類 | 約3万種類 |
有害物質の使用制限 | 化学物質のリスク評価と管理 |
このように、RoHS指令は特定の製品と物質を対象とした規制、REACH規制はより広範囲な物質を対象とした包括的な規制であると言えます。
RoHS指令とWEEE指令の相違点
RoHS指令とWEEE指令はどちらも電気・電子機器に関する指令ですが、その目的や対象範囲が異なります。RoHS指令は、電気・電子機器に含まれる特定の有害物質の使用を制限することを目的としています。一方、WEEE指令は、電気・電子機器を廃棄する際の環境負荷を軽減することを目的としています。
RoHS指令は、鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、ポリ臭化ビフェニル(PBB)、ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)の6種類の物質の使用を禁止しています。また、2015年7月22日以降、フタル酸ジ(2-エチルヘキシル)(DEHP)、フタル酸ブチルベンジル(BBP)、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ジイソブチル(DIBP)の4種類のフタル酸エステル類の使用も禁止されました。これにより、電気・電子機器はこれらの有害物質を含まないことが求められます。
一方、WEEE指令は、廃棄された電気・電子機器を適切に収集、リサイクル、処分することを目的としています。WEEE指令では、電気・電子機器の製造業者や輸入業者に対して、廃棄された電気・電子機器を回収する責任が課されています。また、回収された電気・電子機器は、環境に配慮した方法でリサイクルまたは処分する必要があります。
RoHS指令とWEEE指令は、電気・電子機器に関する指令でありながら、その目的や対象範囲が異なるため、電気・電子機器の製造業者や輸入業者は、それぞれの指令の要件を満たす必要があります。
<RoHS指令とREACH規制の相違点>
RoHS指令とREACH規制はどちらも化学物質に関する規制ですが、その目的や対象範囲が異なります。RoHS指令は、電気・電子機器に含まれる特定の有害物質の使用を制限することを目的としています。一方、REACH規制は、化学物質の製造・輸入・使用に関するリスクを管理することを目的としています。
RoHS指令は、特定の10種類の物質の使用を禁止していますが、REACH規制は対象となる化学物質の種類を限定していません。REACH規制では、化学物質の製造・輸入・使用に関するリスクを評価し、そのリスクを管理するために必要な措置を講じることが求められます。
RoHS指令とREACH規制は、化学物質に関する規制でありながら、その目的や対象範囲が異なるため、電気・電子機器の製造業者や輸入業者は、それぞれの規制の要件を満たす必要があります。
RoHS指令で規制される10物質の詳細
RoHS指令は、電気・電子機器に含まれる特定の有害物質の使用を制限する指令です。2003年に欧州連合(EU)で最初に制定され、現在では世界各国で広く採用されています。RoHS指令で規制されている物質は10種類で、カドミウム、鉛、水銀、6価クロム、ポリ臭化ビフェニル (PBB)、ポリ臭化ジフェニルエーテル (PBDE)、ビス(2-エチルヘキシル)フタル酸 (DEHP)、ブチルベンジルフタレート (BBP)、ジブチルフタレート (DBP)、ジイソブチルフタレート (DIBP)です。これらの物質は、人体や環境への悪影響が懸念されており、電気・電子機器の製造過程や使用時に放出され、人体や環境を汚染する可能性があります。RoHS指令は、これらの物質の使用を制限することで、人体や環境へのリスクを低減することを目的としています。
RoHS指令は、電気・電子機器の製造業者や輸入業者に義務を課しています。製造業者は、RoHS指令で規制されている物質を製品に使用しないようにしなければならず、輸入業者は、RoHS指令に適合している製品のみを輸入することができます。また、RoHS指令は、製品にRoHS適合マークを付けることを義務付けています。RoHS適合マークは、製品がRoHS指令に適合していることを示すマークであり、消費者が製品を購入する際にRoHS指令への適合性を確認することができます。
RoHS指令への適合は、電気・電子機器の製造業者や輸入業者にとって重要な課題です。RoHS指令に適合していない製品は、市場に出回ることができず、製造業者や輸入業者は大きな損失を被る可能性があります。また、RoHS指令への適合は、人体や環境の保護にも貢献します。RoHS指令は、電気・電子機器に含まれる有害物質の使用を制限することで、人体や環境へのリスクを低減することを目的としています。RoHS指令に適合した製品を使用することで、人体や環境の保護に貢献することができます。
RoHS指令の10物質規制の詳細解説
RoHS指令(ローズ指令)とは、電気・電子機器における特定有害物質の使用制限を定めた欧州連合(EU)の指令です。この指令は、2003年2月13日に施行され、2006年7月1日から施行されました。
RoHS指令の目的は、電気・電子機器に含まれる鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、ポリ臭化ビフェニル(PBB)、ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)の10物質の使用を制限することによって、人間の健康と環境を保護することです。
RoHS指令の対象となる製品は、電気・電子機器全般です。具体的には、コンピュータ、携帯電話、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、電気掃除機、電気工具、玩具、医療機器などが含まれます。
RoHS指令で規制される10物質の詳細解説は以下のとおりです。
- 鉛(Pb):鉛は、バッテリー、はんだ、PVCなどの製品に使用されています。鉛は、神経系や生殖系に影響を与える可能性があります。
- 水銀(Hg):水銀は、スイッチ、蛍光灯、電池などの製品に使用されています。水銀は、神経系、腎臓、肺に影響を与える可能性があります。
- カドミウム(Cd):カドミウムは、バッテリー、はんだ、顔料などの製品に使用されています。カドミウムは、肺、腎臓、骨に影響を与える可能性があります。
- 六価クロム(Cr6+):六価クロムは、金属コーティング、顔料、木材防腐剤などの製品に使用されています。六価クロムは、皮膚、肺、鼻に影響を与える可能性があります。
- ポリ臭化ビフェニル(PBB):PBBは、難燃剤として使用されています。PBBは、神経系、生殖系、免疫系に影響を与える可能性があります。
- ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE):PBDEは、難燃剤として使用されています。PBDEは、神経系、生殖系、内分泌系に影響を与える可能性があります。
RoHS指令は、電気・電子機器の廃棄物の削減にも貢献しています。なぜなら、RoHS指令は、電気・電子機器の製造段階から有害物質の使用を制限しているからです。その結果、電気・電子機器の廃棄物が環境に悪影響を与えるリスクが軽減されます。
RoHS指令の対象製品一覧
RoHS指令の対象製品一覧は、電気・電子機器を対象とした指令であり、以下のような製品が規制対象となります。
- 大型家電: 冷蔵庫、洗濯機、乾燥機、電気オーブン、電気コンロ、電気ヒーター、エアコン、電子機器
- 小型家電: 掃除機、ミキサー、トースター、電気ケトル、電気シェーバー、電気歯ブラシ、ラジオ、テレビ、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ノートパソコン、タブレット、携帯電話
- その他の機器: 電源コード、ケーブル、バッテリー、プリント基板、半導体
- 電気・電子機器に組み込まれる部品: コンデンサ、抵抗器、インダクター、トランジスタ、ダイオード、集積回路
- 医療機器: 人工心臓ペースメーカー、インプラント、診断機器
- 監視・制御機器: 火災報知器、煙探知器、セキュリティシステム
- 自動販売機: 飲料自動販売機、食品自動販売機
このリストは一例であり、RoHS指令の対象となる製品は他にも存在します。詳細は指令の条文やガイダンスを参照してください。
RoHS指令の対象製品一覧を詳しく解説
RoHS指令は、電気・電子機器に含まれる特定有害物質の使用を制限する欧州連合(EU)の指令です。名称は、指令の正式名称である「Restriction of Hazardous Substances」の頭文字を取って付けられました。
RoHS指令は、以下の製品を対象としています。
- 大型家電
- 小型家電
- IT機器
- 消費財
- 照明器具
- 電気・電子機器の部品
具体的な対象製品は以下の通りです。
- 冷蔵庫、洗濯機、食器洗い機などの大型家電
- テレビ、パソコン、携帯電話などの小型家電
- プリンター、スキャナー、コピー機などのIT機器
- おもちゃ、スポーツ用品、楽器などの消費財
- 電球、蛍光灯、LED照明などの照明器具
- コンデンサ、抵抗器、スイッチなどの電気・電子機器の部品
RoHS指令の目的は、電気・電子機器から有害物質を排除することで、以下の環境問題に対処することです。
- 環境汚染
- 健康への悪影響
- 資源の枯渇
RoHS指令は、以下の10種類の物質の使用を制限しています。
- 鉛
- カドミウム
- 水銀
- 六価クロム
- ポリ臭化ビフェニル(PBB)
- ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)
- フタル酸ジ(2-エチルヘキシル)(DEHP)
- フタル酸ブチルベンジル(BBP)
- フタル酸ジブチル(DBP)
- フタル酸ジイソブチル(DIBP)
RoHS指令は、電気・電子機器から有害物質を排除することで、環境と健康を守ることを目的とした重要な指令です。
RoHS指令における「鉛」の適用除外
RoHS指令では、一般的に鉛の使用が禁止されていますが、いくつかの例外があります。これらの例外は、技術的な代替手段が開発されていない場合や、代替手段が環境や健康への影響が大きい場合に適用されます。
主な適用除外は以下のとおりです。
- 電子機器の特定用途における鉛:ガラスやセラミック、半導体、抵抗器などの特定用途では、鉛の使用が許可されています。
- 医療機器:ペースメーカーやインプラントなどの医療機器には、鉛の使用が許可されています。
- モニター機器や制御機器:一部のモニター機器や制御機器では、鉛の使用が許可されています。
- 航空宇宙機器:航空機や宇宙船などの航空宇宙機器では、鉛の使用が許可されています。
これらの適用除外は、技術的な代替手段が開発されていない場合や、代替手段が環境や健康への影響が大きい場合に適用されます。
RoHS指令における「鉛」の除外措置を解説
RoHS指令は、電気・電子機器に含まれる特定の有害物質の使用を制限する指令です。鉛はRoHS指令で規制されている10物質の1つですが、一部の用途では使用が認められています。ここでは、RoHS指令における「鉛」の除外措置について解説します。
RoHS指令では、以下の用途において鉛の使用が認められています。
- ブラウン管や液晶ディスプレイのガラスに使用される鉛
- ピエゾセラミックやコンデンサに使用される鉛
- ハンダやヒューズに使用される鉛
- 心臓ペースメーカーや人工関節に使用される鉛
- 研究開発段階の機器に使用される鉛
RoHS指令の除外措置が適用されるためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 鉛の使用が技術的に不可欠であること。
- 鉛の使用が、環境や健康に悪影響を与えないこと。
- 代替物質が利用できないこと。
RoHS指令の除外措置は、期間限定で認められています。除外措置の有効期限は、用途によって異なります。
RoHS指令の除外措置を申請するには、欧州委員会に申請書を提出する必要があります。申請書には、鉛の使用が技術的に不可欠であること、環境や健康に悪影響を与えないこと、代替物質が利用できないことなどを証明する資料を添付する必要があります。
各国のRoHS指令への対応
各国はRoHS指令の導入や、それに準拠した規制を相次いで実施しています。EUはRoHS指令の制定国であり、2003年2月13日に施行されました。
その後、2011年7月1日にはRoHS2指令が施行され、規制対象物質の拡大や適用除外の見直しなどが行われました。中国は2006年6月に、RoHS指令に準拠した「電気電子製品における特定有害物質の使用制限」を発表しました。
2017年7月1日には、RoHS指令にさらに近い「電気電子製品における特定有害物質の使用制限の管理方法」が施行されました。米国では、カリフォルニア州が2006年にRoHS指令に準拠した「電子機器における特定有害物質の使用制限に関する法律」を制定しました。
2010年には、連邦レベルでRoHS指令に準拠した「消費者製品安全改善法」が制定されました。
日本は2006年7月に、RoHS指令に準拠した「特定化学物質の環境への排出の抑制等に関する法律」(化管法)を制定しました。化管法はRoHS指令よりも規制対象物質が少なく、適用除外も広範囲に設定されています。韓国、台湾、インド、オーストラリアなど、多くの国がRoHS指令に準拠した規制を導入しています。
これらの取り組みは、世界的な電気電子機器における有害物質削減の動きを加速させています。企業はRoHS指令や各国の規制を遵守し、環境に配慮した製品開発を進めることが求められています。
まとめ
RoHS指令とは、電気電子機器に含まれる特定の危険物質の使用を制限するEUの指令です。この指令は2003年に施行され、2006年以降に製造された機器に適用されます。
RoHS指令の目的は、環境汚染や人体への影響を防ぐことです。規制対象となる10物質は鉛、カドミウム、水銀、六価クロム、PBB、PBDE、DEHP、BBP、DBP、DIBPです。これらの物質は人体や環境に有害な影響を与える可能性があります。
RoHS指令は、電気電子機器の製造業者にこれらの物質の使用を制限することを義務付けています。また、輸入業者や販売業者にも、RoHS指令に適合した機器のみを販売することを義務付けています。
RoHS指令は、環境への影響を削減し、人体へのリスクを軽減することを目的としています。この指令は、電気電子機器の設計、製造、使用、廃棄に大きな影響を与えています。