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機械図面とは?寸法公差と幾何公差の違いを解説

機械図面において、正確な寸法を伝えるために欠かせないのが「公差」です。公差とは、設計された寸法に対して許容される誤差範囲のことです。機械部品は完全に同じ寸法で製造することは不可能であり、一定の誤差が生じます。公差を設定することで、部品の機能や性能に影響のない範囲内の誤差を許容し、生産性を向上させることができます。

この文章では、公差の基礎知識をわかりやすく解説し、その重要性や設定方法、種類について理解を深めます。公差の目的や重要性、設定方法、種類について詳しく解説します。サイズの公差や角度に関する公差の指定方法、普通公差や一般公差などの違いについても理解を深めることができます。

機械図面に関わる方にとって、公差の知識は不可欠です。この記事を通して、公差の基礎を学び、正確な機械図面を作成できるようになりましょう。

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目次

機械図面に必要な公差の基礎知識

機械図面を作成する上で、公差は欠かせない要素です。本記事では、公差の意味や設定の必要性、公差等級や表記方法など、機械図面に必要な公差の基礎知識について解説します。

<公差とは>

公差とは、製品の寸法や形状が許容できる範囲のことです。設計された寸法に対して、どの程度の誤差が許されるかを表します。

<公差設定の必要性>

公差を設定することで、以下のメリットがあります。

  • 部品間の組み立て性を確保できる
  • 製造コストを削減できる
  • 製品品質を安定させることができる

<公差等級>

公差等級とは、公差の精度を表す等級です。JIS規格では、20種類の公差等級が規定されています。

<公差の表記方法>

公差は、寸法の後ろに±記号と数値で表記します。例えば、10±0.1mmと表記された場合、許容される寸法範囲は9.9mmから10.1mmとなります。

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上記では、公差の基礎知識について簡単に説明しました。より詳しい内容については、以下の各見出しで解説しています。

  • 公差の意味とは
  • 公差設定の必要性
  • 公差等級の定義
  • 公差の表記方法

これらの内容を理解することで、機械図面に必要な公差の知識を深めることができます。

公差の意味とは

機械図面において、公差とは、寸法や形状などの数値に対する許容範囲を表す概念です。つまり、部品の寸法や形状が、図面で指定された値からどれだけずれていても許容される範囲を示しています。公差は、機械部品の製造や組み立てにおける誤差を考慮し、製品の機能や性能を維持するために必要不可欠な要素です。

公差は、以下の2種類に分類されます。

  • 寸法公差: 寸法に対する許容範囲を表す公差です。例えば、直径10mmの円柱の寸法公差が±0.1mmの場合、直径は9.9mmから10.1mmの間であれば許容されます。
  • 幾何公差: 形状に対する許容範囲を表す公差です。例えば、円柱の真直度公差が0.01mmの場合、円柱の軸は0.01mm以内の範囲で曲がっていることが許容されます。

公差は、機械図面に正しく記載しなければ、製品の品質や性能に影響を与えてしまう可能性があります。そのため、公差の設定は、設計者や製造担当者にとって重要なタスクの一つとなっています。

公差設定の必要性

機械図面において、公差とは、設計者が意図したサイズの許容範囲のことです。なぜ公差を設定する必要があるのでしょうか?

製造のばらつきを吸収: 部品は常に完全に正確に製造することは不可能です。公差を設定することで、製造のばらつきを吸収し、機能に影響を与えない範囲内でサイズや形状のばらつきを許容することができます。

コスト削減: 過度に厳しい公差は、製造コストの増加につながります。公差を適切に設定することで、必要な精度を確保しつつ、コストを抑えることができます。

互換性の確保: 複数の部品で構成される製品において、各部品のサイズや形状が一定の範囲内に収まっている必要があります。公差を設定することで、部品同士の互換性を確保し、製品の組み立てを円滑に行うことができます。

設計の簡素化: 公差を設定することで、設計者が詳細な寸法を指定せずに、ある程度のばらつきを許容した設計を行うことができます。これにより、設計作業を簡素化することが可能です。

これらの理由により、機械図面において公差設定は不可欠です。公差を適切に設定することで、製品の品質、コスト、納期などを最適化することができます。

公差等級の定義

工業製品の設計において、寸法や形状を正確に表現することは不可欠です。しかし、現実の製造工程では、完全に同一の製品を製造することは不可能であり、必ず多少のばらつきが生じてしまいます。

寸法公差とは、設計図面上の寸法に対して許容される誤差の範囲のことです。公差によって、製造工程で発生するわずかなばらつきを許容しながら、製品の機能や性能を保証することができます。

公差等級とは、寸法公差をいくつか段階に分け、許容される誤差の範囲を定量的に示したものです。JIS B 0401「寸法公差」では、18種類の公差等級が規定されています。

公差等級の選択は、製品の機能や精度、コストなどを考慮して行います。高精度の機械部品には、より小さい等級の公差を選択する必要があります。逆に、精度が低くても問題のない部品には、より大きな等級の公差を選択することができます。

公差等級は、設計図面上で正しく表記することが重要です。公差等級の表記方法には、以下のようなものがあります。

  • ±記号を用いた方法:寸法の両側に±記号と公差値を記載する方法です。
  • 基本寸法と限界寸法を用いた方法:寸法の両側に限界寸法を記載する方法です。

公差等級の表記方法については、JIS B 0401に詳しく記載されています。設計者や技術者は、公差等級の正しい理解と適切な表記を心がけることが重要です。

公差の表記方法

公差は、文字と記号を組み合わせて表記されます。基本的には、寸法公差の欄に、許される寸法のずれの範囲を示す数字を記入します。

例えば、「50±0.1」と表記されている場合、「50」が基準寸法であり、0.1が公差範囲を示します。これは、「50mm±0.1mm」、「50mm ± 0.05mm」、「50mm±0.25mm」のように表記することもできます。また、「±0.05mm」と表記されている場合は、「50mm±0.05mm」と解釈します。

公差の表記には他にも様々な方法がありますが、基本的なルールを理解しておくことが重要です。

<公差の種類>

公差には、大きく分けてサイズ公差と幾何公差の2種類があります。

サイズ公差は、寸法に関する公差のことです。基本的には、基準寸法に対して許される誤差の範囲を表します。

幾何公差は、形状や位置に関する公差のことです。基本的には、基準形状や基準位置に対して許される誤差の範囲を表します。

<公差の重要性>

公差は、製品の品質を確保するために重要な要素です。公差が大きすぎると、製品の機能や性能に悪影響を与え、公差が小さすぎると、製品の製造コストが上昇してしまいます。

そのため、設計者は製品の機能や性能、製造コストなどを考慮しながら、適切な公差を設定する必要があります。

1)公差の目的と重要性を理解する

機械図面は製品を製造するための設計情報を伝える重要なツールであり、寸法公差は図面上各寸法の許容範囲を示す重要な要素です。寸法公差は製品の品質と機能を確保するために必要で、製品を確実に機能させ、製造や加工のばらつきを許容し、コストを削減する目的で設定されています。

寸法公差にはサイズ公差と幾何公差の2種類があり、サイズ公差は長さ、幅、高さなどの寸法の許容範囲を示すのに対し、幾何公差は形状、位置、方向などの幾何学的形状の許容範囲を示します。サイズ公差と幾何公差はそれぞれ異なる目的で設定されており、サイズ公差は製品の機能を確保するために必要最小限の範囲で設定されますが、幾何公差は製品の外観や組み立てやすさを考慮して設定されます。

公差の設定には以下の要素を考慮する必要があります:

  • 製品に要求される精度
  • 製造や加工の能力
  • コスト

公差の設定は製品の品質とコストに大きく影響するため、適正な公差を設定することが非常に重要となります。

2)公差の定義とその役割とは

機械図面には、寸法公差と幾何公差の2種類が存在します。公差とは、設計者が意図した寸法から許容される範囲のことです。寸法公差は、部品のサイズに関する公差、幾何公差は、部品の形状や位置に関する公差です。

寸法公差は、部品の機能や性能を確保するために必要です。例えば、シャフトと穴の組み合わせでは、シャフトの直径は穴の直径よりもわずかに小さくする必要があります。これは、シャフトを穴に挿入しやすくするためです。しかし、シャフトの直径が小さすぎると、シャフトが穴に挿入できなくなる可能性があります。逆に、シャフトの直径が大きすぎると、シャフトが穴にガタついてしまい、部品の機能や性能が低下する可能性があります。

幾何公差は、部品の形状や位置を正確に制御するために必要です。例えば、ベアリングのレースウェイは、円柱形状である必要があります。しかし、レースウェイにわずかな歪みがあると、ベアリングの回転がスムーズに行われなくなり、寿命が短くなる可能性があります。幾何公差は、このような形状や位置の誤差を許容する範囲を規定しています。

寸法公差と幾何公差は、どちらも部品の機能や性能を確保するために重要な役割を果たしています。公差の設定は、設計者にとって重要な課題です。公差が大きすぎると、部品の機能や性能が低下する可能性があります。逆に、公差が小さすぎると、部品の製造が困難になったり、コストが高くなったりする可能性があります。設計者は、公差を適切に設定することで、部品の機能や性能を確保し、かつコストを抑える必要があります。

3)サイズ公差の基本的な概念と定義

サイズ公差と幾何公差は、機械図面において重要な概念です。サイズ公差は、部品の寸法に対する許容範囲を定義し、幾何公差は、部品の形状や位置に対する許容範囲を定義します。

サイズ公差は、部品の寸法が完全に正確であることは不可能であり、誤差があることを認めるという基本的な概念に基づいています。サイズ公差は、これらの誤差許容範囲を数値で示し、部品が機能を果たすために必要な精度を確保します。

サイズ公差には、基本公差、普通公差、寸法公差などがあります。基本公差は、寸法に等級を指定しない場合に適用される公差です。普通公差は、図面に公差を特に指定しない場合に適用される公差です。寸法公差は、個々の寸法に指定する公差です。

幾何公差は、より複雑な形状や位置に対する許容範囲を定義するために使用されます。幾何公差には、直角度公差、平行度公差、真直度公差、円度公差などがあります。

サイズ公差と幾何公差は、機械図面において重要な概念であり、部品が設計通りの機能を果たすために不可欠です。設計者は、部品の機能に応じて適切なサイズ公差と幾何公差を設定することで、品質を確保し、製造コストを抑えることができます。

4)普通公差の理解と適用

機械図面は、製品の形状や寸法などを正確に伝えるために用いられる図面です。機械図面には、様々な情報を記載することができ、その中には寸法公差や幾何公差も含まれます。

寸法公差とは、製品の寸法が許容される範囲のことです。寸法公差は、製品の精度や強度、コストなどに影響を与える重要な要素です。

幾何公差とは、製品の形状が許容される範囲のことです。幾何公差は、製品の機能や性能に影響を与える重要な要素です。

寸法公差と幾何公差は、どちらも製品の精度を確保するために重要な要素ですが、その目的や役割は異なります。寸法公差は、製品の寸法を正確に制御することを目的としており、幾何公差は、製品の形状を正確に制御することを目的としています。

<機械図面における普通公差の理解と適用>

機械図面において、普通公差は、特に寸法公差の指定がない場合に適用される基本的な公差です。普通公差の理解と適用は、効率的な生産管理に役立ちます。

普通公差は、JIS規格によって等級が設定されており、その等級によって許容される誤差範囲が定められています。一般的に、高精度が要求される部品ほど、より高精度の等級が適用されます。

普通公差の適用には、以下のメリットがあります。

  • 設計の簡略化: 個別に公差を指定する必要がなく、設計作業が容易になります。
  • 生産性の向上: 生産時に個別の検査が不要となり、作業効率が向上します。
  • コスト削減: 高精度の公差よりも低コストで製品を製造することができます。

しかし、普通公差の適用には、以下のデメリットもあります。

  • 精度の制限: 高精度が要求される場合、十分な精度が確保できない可能性があります。
  • 設計の自由度の制限: 個別の公差を指定できないため、設計の自由度が制限される場合があります。

普通公差の適用は、要求される精度やコスト、生産性などを考慮した上で、適切に判断することが重要です。

<機械図面における普通公差の適用方法>

機械図面に普通公差を適用する場合、以下の方法が一般的に用いられます。

  • 公差表の利用: JIS規格に準拠した公差表を利用し、該当する等級の公差範囲を適用します。
  • 寸法公差記号の使用: 図面上に寸法公差記号を記載し、普通公差であることを示します。

普通公差の適用方法については、より詳細な情報を以下の資料から入手することができます。

  • JIS B 0401: 2016 寸法公差
  • 機械製図入門

機械図面における普通公差は、特に寸法公差の指定がない場合に適用される基本的な公差です。普通公差の理解と適用は、効率的な生産管理に役立ちます。普通公差の適用にはメリットとデメリットがあり、要求される精度やコスト、生産性などを考慮した上で、適切に判断することが重要です。

5)寸法公差の記入方法と実践

寸法公差は図面に記載された寸法の許容範囲を示すものです。寸法公差の記入方法はJIS規格で定められており、正確な記入が必要です。

寸法公差は、図面の寸法の許容範囲を示すものです。寸法公差の記入方法はJIS規格で定められており、正確な記入が必要です。

サイズ公差は、穴やシャフトなどの寸法に対して許容される範囲を示します。サイズ公差の指示方法は、JIS B 0023に基づいて、サイズ公差記号、公差等級、公差範囲の順に記載します。

サイズ公差を記入する際には、以下のポイントに注意する必要があります。

  • サイズ公差記号は、JIS規格で定められた記号を使用する。
  • 公差等級は、部品の精度に応じて選択する。
  • 公差範囲は、図面の寸法に応じて設定する。

角度に関する公差は、角度の許容範囲を示します。角度に関する公差の指定方法は、サイズ公差と同様にJIS規格で定められています。

角度に関する公差を記入する際には、以下のポイントに注意する必要があります。

  • 角度公差記号は、JIS規格で定められた記号を使用する。
  • 角度公差は、角度の精度に応じて選択する。
  • 角度公差の範囲は、図面の角度に応じて設定する。

寸法公差の記入方法を正しく理解することで、正確な図面を作成することができます。

寸法公差の記入方法についての詳細は、JIS規格を参照してください。

① サイズ公差の指示方法とポイント

サイズ公差は、図面上で部品の寸法に許容される範囲を示すものです。 寸法公差を適切に指示することで、部品の精度や製造コストの管理に役立ちます。

具体的なサイズ公差の指示方法としては、以下のポイントがあります。

  • 公差記号: 寸法線の上に、公差記号として正負の記号を記入する。
  • 公差値: 公差記号の両側に、公差値を記入する。
  • 単位: 公差値には、単位を明記する。

また、サイズ公差を指示する際には、以下の点にも注意が必要です。

  • 基準寸法: サイズ公差を指示する際には、基準寸法を明確にする。
  • 公差等級: 公差等級は、部品の精度要求レベルに応じて設定する。
  • 寸法要素: 寸法要素には、長さ、幅、高さ、直径、厚さなどがある。

サイズ公差を正しく指示することで、設計意図を正確に伝え、部品の品質やコストを管理することができます。

② 角度に関する公差の指定方法

角度に関する公差の指定方法は、以下のような方法があります。

  • 角度公差: 角度の値そのものに公差を指定する方法です。例えば、30°±1°のように指定します。
  • 位置公差: 角度の基準となる位置に公差を指定する方法です。例えば、水平線に対して30°±1°のように指定します。
  • 形状公差: 角度の形状そのものに公差を指定する方法です。例えば、真円度で0.1mmのように指定します。

角度に関する公差の指定方法は、求められる精度や形状によって異なります。適切な方法を選択することで、製品の品質を確保することができます。

寸法公差と普通公差の比較

寸法公差と普通公差は、製品の精度とコストを決定する上で重要な要素です。両者は同じように製品の寸法に対する許容範囲を示すものですが、その適用範囲と目的が異なります。

寸法公差は、図面上の寸法に対して許容される誤差の範囲を示すもので、設計者が意図した通りの機能や性能を確保するために設定されます。寸法公差は、製品の品質や安全性を確保するために必要不可欠であり、精密な加工や組み立てが求められる製品では、より厳密な寸法公差が設定されます。

普通公差は、寸法公差が設定されていない場合に適用される、一般的な許容誤差の範囲を示すものです。普通公差は、製品の機能や性能に大きな影響を与えない部分や、コストを抑える必要がある部分に適用されます。普通公差の等級は、JIS規格で定められており、製品の種類や用途に応じて適切な等級が選択されます。

寸法公差と普通公差の比較表は以下のとおりです。

項目 寸法公差 普通公差
適用範囲 図面に記載された寸法 寸法公差が設定されていない場合
目的 製品が意図した通りの機能や性能を確保する コストを抑える
設定方法 設計者が指定 JIS規格で定められた等級を選択
許容誤差 厳密 一般的な範囲

寸法公差と普通公差は、製品の精度とコストを決定する上で重要な要素です。寸法公差は製品の機能や性能を確保するために必要なもので、普通公差はコストを抑えるために必要なものです。設計者は製品の特性に応じて適切な公差を設定し、製品の品質とコストのバランスを図る必要があります。

等級とは一般公差の意味?

等級とは、機械図面において、寸法公差を指定する際に用いられる、規格化された公差範囲のことです。言い換えれば、一般公差とは、等級によって規定された、寸法や形状の許容範囲を表します。

等級は、JIS B 0401-1に記載されている「寸法公差」の表に基づいて、寸法の大きさや形状に応じて、IT等級、JS等級、P等級の3つの等級に分類されます。各等級は、許容される誤差範囲の数値が定められており、図面上では記号で指定されます。

例えば、IT等級は、非常に精密な加工が必要な場合に用いられ、許容誤差範囲が小さく、JS等級は一般的な加工レベルに用いられ、許容誤差範囲がIT等級よりも大きく、P等級は、それほど精密な加工を必要としない場合に用いられ、許容誤差範囲が最も大きくなります。

各等級の選択は、部品の形状や機能、製造コストなどを考慮して決定されます。図面上に指定された等級に基づいて、製造者は部品を加工し、検査者は部品の寸法や形状を検査します。

等級は、機械図面において、寸法公差を明確に指定し、部品の品質を確保するための重要な要素です。

基準寸法における一般公差の分類

このトピックでは、機械図面に記載される公差について解説します。特に、寸法公差と幾何公差の2種類の違いについて詳しく説明します。

<寸法公差とは?>

寸法公差とは、図面に記載された寸法の許容範囲を示すものです。例えば、図面に「10mm」と記載された場合、寸法公差が±0.1mmであれば、実際の寸法は9.9mmから10.1mmまでの範囲であれば許容されることを意味します。

寸法公差は、図面に個別に記載される場合と、一般公差として適用される場合があります。一般公差とは、図面に個別に公差が指定されていない寸法に適用される公差のことです。一般公差は、寸法の大きさや精度に応じて、IT01からIT18までの18段階に分類されています。

<幾何公差とは?>

幾何公差とは、図面に記載された面の形状や位置の許容範囲を示すものです。寸法公差とは異なり、幾何公差は形状や位置に関する情報を詳細に記載することが可能です。

幾何公差には、直角度、平行度、真直度、位置度、円筒度、真円度、形状誤差、表面粗さなど、様々な種類があります。幾何公差は、図面に個別に記載される場合と、幾何公差枠を使用して記載される場合があります。

<寸法公差と幾何公差の違い>

寸法公差と幾何公差の違いは、大きくは以下の3点です。

  • 対象: 寸法公差は寸法の許容範囲を示すのに対し、幾何公差は面の形状や位置の許容範囲を示します。
  • 情報量: 寸法公差は1つの数値で許容範囲を示すのに対し、幾何公差は形状や位置に関する情報を詳細に記載することが可能です。
  • 記載方法: 寸法公差は図面に個別に記載される場合と一般公差として適用される場合があります。一方、幾何公差は図面に個別に記載される場合と幾何公差枠を使用して記載される場合があります。

寸法公差と幾何公差は、機械図面に記載される公差の2種類です。寸法公差は寸法の許容範囲を示し、幾何公差は面の形状や位置の許容範囲を示します。寸法公差と幾何公差の違いを理解することで、機械図面の読み取りや作成を正確に行うことができます。

一般公差の設定方法

一般公差とは、図面に個別に記入がない場合に適用される、寸法公差のことです。JIS規格によって設定されており、基準寸法の大きさによって公差等級が決められます。公差等級によって、許容される寸法の誤差の範囲が異なり、一般公差の設定は製品の品質とコストに大きく影響します。

一般公差の設定方法は、以下の手順で行います。

  1. 基準寸法を測定する
  2. 基準寸法に対応する公差等級をJIS規格表から確認する
  3. 公差等級に基づいて、許容誤差範囲を決定する
  4. 一般公差を図面に記入する

一般公差を設定する際には、製品の機能や性能、使用条件などを考慮する必要があります。また、必要以上に厳しい公差を設定すると、加工コストが上昇するだけでなく、製品の品質を逆に低下させてしまう可能性もあります。そのため、適切な公差を設定することが重要です。

以下に、JIS規格で規定されている公差等級と許容誤差範囲を示します。

公差等級 許容誤差範囲
IT01 ±0.005
IT0 ±0.01
IT1 ±0.015
IT2 ±0.025
IT3 ±0.04
IT4 ±0.06
IT5 ±0.1
IT6 ±0.15
IT7 ±0.25
IT8 ±0.4
IT9 ±0.6
IT10 ±1
IT11 ±1.5
IT12 ±2.5
IT13 ±4
IT14 ±6
IT15 ±10

一般公差は、複雑な設計や加工技術を必要としない製品に適しています。しかし、高精度が求められる製品や、寸法誤差が機能や性能に大きな影響を与える製品の場合は、一般公差ではなく個別に寸法公差を記入する必要があります。

まとめ

機械図面とは製品を製造するための詳細な情報が記載された図面です。製品の形状、寸法、材質、表面処理などの情報に加えて、寸法公差と幾何公差も記載されています。寸法公差は、製品の寸法が許容される範囲を示すもので、幾何公差は、製品の形状や位置が許容される範囲を示すものです。

寸法公差は、製品の機能や品質を確保するために必要な範囲内で設定されます。寸法公差が大きすぎると、製品の機能や品質が低下するおそれがあり、寸法公差が小さすぎると、製品の製造コストが高くなります。幾何公差は、製品の形状や位置を正確に制御するために必要な範囲内で設定されます。幾何公差が大きすぎると、製品の外観や性能が低下するおそれがあり、幾何公差が小さすぎると、製品の製造コストが高くなります。

寸法公差と幾何公差は、製品の製造において重要な役割を果たします。寸法公差と幾何公差を適切に設定することで、製品の機能や品質を確保しつつ、製造コストを抑えることができます。

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