C2600とC3604の違いを徹底比較|銅合金の材質・加工性・用途をわかりやすく解説

C2600とC3604の違いを徹底比較|銅合金の材質・加工性・用途をわかりやすく解説
銅合金の中でもよく使われるC2600とC3604。どちらも「黄銅(真鍮)」に分類されますが、成分や加工性、適した用途に明確な違いがあります。本記事では、製造現場で迷いがちな「C2600とC3604の違い」を材質・特性・用途の観点から徹底解説します。
C2600とC3604とは
どちらも銅と亜鉛を主成分とする黄銅合金ですが、C2600は「伸銅材(板・帯など)」、C3604は「快削黄銅(棒材)」として使われます。つまり、加工方法と用途が大きく異なります。
C2600(黄銅板材)の概要
C2600は「70/30黄銅」とも呼ばれ、約70%の銅と30%の亜鉛で構成されます。柔らかく延性が高いため、プレス加工や曲げ加工に適しています。主に板や帯、パイプなどに加工されます。
C3604(快削黄銅)の概要
C3604は、鉛を添加して切削性を高めた「快削黄銅」です。旋盤・フライスなどの切削加工に適しており、ネジ・継手・精密部品などの機械加工部品に広く使われています。
化学成分の違い
両者の違いを理解するには、まず化学組成を比較するのが有効です。
| 合金種 | 主成分 | 添加元素 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| C2600 | Cu 約70%、Zn 約30% | なし | 高い延性と展性、良好な冷間加工性 |
| C3604 | Cu 約60%、Zn 約37% | Pb 約2〜3% | 優れた切削性、良好な被削面 |
鉛(Pb)の有無が大きな違いです。C3604は鉛の添加により、切削抵抗が小さく、工具寿命を延ばすことができます。
機械的性質の比較
C2600は柔らかく、C3604はやや硬くなります。この特性が、加工法や用途の違いにつながります。
| 特性 | C2600 | C3604 |
|---|---|---|
| 引張強さ | 約340MPa | 約440MPa |
| 伸び | 約40% | 約20% |
| 加工性 | 優れる(曲げ・プレス) | 切削性に優れる |
| 導電率 | やや高い | やや低い |
このように、C2600は延性重視の加工、C3604は切削重視の加工に適しています。
用途の違い
用途の違いは、製造現場での使い分けを理解する上で最も重要なポイントです。
- C2600:板バネ、装飾部品、電気端子、熱交換器など
- C3604:バルブ、継手、ネジ、ギア、精密切削部品など
C2600は「曲げ・プレス加工」が必要な部品に使われ、C3604は「旋盤・フライス加工」が中心の部品に適しています。
加工性とコストの違い
加工性ではC3604が優れ、コストも比較的低めです。一方でC2600は高精度の板成形が可能で、外観仕上げの良さが求められる用途に適しています。
加工性・コスト比較表
| 項目 | C2600 | C3604 |
|---|---|---|
| 切削加工性 | △ | ◎(快削性) |
| プレス加工性 | ◎ | △ |
| コスト | やや高い | 安価 |
環境面・リサイクル性
近年は鉛フリー化が進み、C3604の代替としてC3602(鉛低減材)などが使われるケースも増えています。環境対応が求められる製品では、素材選定時に注意が必要です。
よくある質問(FAQ)
Q1. C2600とC3604の一番大きな違いは何ですか?
また、黄銅の種類や特徴については、黄銅の種類と特徴について詳しくはこちらで解説しています。
Q2. C2600とC3604はどのように使い分ければよいですか?
加工性の違いを踏まえた素材選定について、JIS規格(JSA)も参考になります。
また、各材質の用途比較は、銅合金の用途比較ガイドで詳しく紹介しています。
Q3. C3604は環境対応面で問題ありませんか?
まとめ:用途で使い分けるのが最適
C2600とC3604の違いをまとめると、前者は「板材で延性重視」、後者は「棒材で切削重視」と言えます。加工方法や用途を基準に適材を選ぶことで、品質とコストを両立できます。
また、銅合金の種類や用途別の特性については、黄銅の種類と特徴について詳しくはここで解説しています。

