SCM435 クロムモリブデン鋼 |材質・硬度・強度・比重・用途
SCM435 クロムモリブデン鋼は、機械的特性と用途の幅広さで知られています。 高強度、耐摩耗性、耐熱性、耐腐食性に優れたこの鋼は、さまざまな産業で広く使用されています。 このページでは、SCM435 の詳細な特性、成分、利点、用途、および SCM420 との違いについて詳しく説明します。 SCM435 の機械的特性の詳細、化学組成、加工特性、強度特性など、この汎用性の高い鋼に関する重要な情報をご覧ください。 SCM435 の用途や SCM420 との比較など、特定のニーズに最適な材料を選択するのに役立つ情報を提供します。
SCM435(クロムモリブデン鋼)の機械的性質と成分値
SCM435は、クロムとモリブデンを添加した中炭素合金鋼です。高い強度、靭性、耐摩耗性を持ち、様々な産業機械部品や自動車部品に使用されています。
以下は、SCM435の機械的性質と成分値の概要です。
性質 | 値 |
---|---|
引張強さ | 800-1000 MPa |
屈服強さ | 600-700 MPa |
伸び | 15% |
硬度 | 280-320 HB |
成分 | C:0.40-0.45%, Si:0.20-0.35%, Mn:0.50-0.80%, Cr:0.80-1.10%, Mo:0.15-0.25% |
SCM435は、以下の特性も備えています。
- 強度の特性: 高い引張強さと屈服強さを持ち、大きな荷重に耐えることができます。
- 耐熱性の特性: 高温でも機械的性質を維持することができます。
- 腐食耐性の特性: 腐食に強い鋼種です。
- 溶接性の特性: 比較的容易に溶接することができます。
SCM435の機械的性質と成分値の詳細については、以下の項目をご覧ください。
- SCM435の成分値詳細
- 強度の特性
- 耐熱性の特性
- 腐食耐性の特性
- 溶接性の特性
- SCM435の機械的性質の概要
SCM435の成分値詳細
SCM435はクロムモリブデン鋼の一種で、0.43%の炭素、0.60~0.90%のクロム、0.20~0.35%のモリブデンを含有しています。また、マンガン、ケイ素、リン、硫黄も微量に含まれています。これらの元素の組み合わせにより、SCM435は高い強度、靭性、耐摩耗性を備えています。
<SCM435の機械的性質の概要>
SCM435は、優れた機械的性質を持ち、様々な用途で使用されています。以下に、SCM435の機械的性質の概要を示します。
機械的性質 | 値 | 単位 |
---|---|---|
引張強度 | 980 | MPa |
0.2%耐力 | 835 | MPa |
伸び | 12 | % |
衝撃吸収エネルギー | 78 | J |
<SCM435の用途>
SCM435は、その優れた機械的性質から、様々な用途に使用されています。以下は、その代表的な例です。
- 自動車部品 (シャフト、ギア、スプリングなど)
- 建設機械 (クレーン、ブルドーザーなど)
- 産業機械 (歯車、ベアリングなど)
- 工具 (ドリル、タガネなど)
<SCM435Hの特徴と成分値>
SCM435Hは、SCM435に比べて炭素含有量が多いため、さらに高い強度と靭性を備えています。その成分値は、以下の通りです。
元素 | 含有量 (%) |
---|---|
炭素 | 0.48~0.55 |
クロム | 0.70~1.00 |
モリブデン | 0.25~0.35 |
<SCM435とSCM420の特徴とは?>
SCM420は、SCM435と同様にクロムモリブデン鋼に分類される鋼材です。しかし、SCM435よりも炭素含有量が低いため、強度や耐摩耗性は劣ります。一方、SCM420は加工性に優れているため、複雑な形状の部品の製造に適しています。
<SCM435とSCM420の組織構造の違い>
SCM435とSCM420の組織構造は、炭素含有量の違いによって異なります。SCM435は、炭素含有量が高いため、マルテンサイト組織が主体となります。マルテンサイト組織は硬くて脆い性質を持ちますが、SCM435はクロムとモリブデンを含有しているため、靭性も保持しています。
一方、SCM420は、炭素含有量が低いため、フェライトとパーライトの混合組織となります。フェライトは軟らかく粘り強い性質を持ち、パーライトは硬くて強い性質を持ちます。SCM420の組織構造は、これらの性質のバランスがとれているため、加工性に優れています。
<SCM435とSCM420の使用用途の違い>
SCM435とSCM420は、組織構造の違いによって、使用用途が異なります。SCM435は、高い強度と靭性を必要とする用途に使用されます。具体的には、自動車部品、建設機械、産業機械、工具などです。
一方、SCM420は、加工性に優れているため、複雑な形状の部品の製造に適しています。具体的には、ボルト、ナット、シャフト、歯車などです。
SCM435とSCM420は、どちらもクロムモリブデン鋼に分類される鋼材ですが、炭素含有量の違いによって、機械的性質、組織構造、使用用途が異なります。SCM435は、高い強度と靭性を必要とする用途に適しており、SCM420は、加工性に優れているため、複雑な形状の部品の製造に適しています。
強度の特性
SCM435は、以下の強度特性を持つ合金鋼です。
特性 | SCM435 |
---|---|
降伏強度 | 750MPa以上 |
引張強度 | 950MPa以上 |
特性 | 高強度、硬度 |
用途 | シャフト、ギア、クランクシャフト、自動車部品、航空機部品 |
詳細説明:
- 降伏強度: SCM435は高い降伏強度を持ち、強度が求められる部品に適しています。
- 引張強度: 引張強度も高く、強力な負荷に耐えることができます。
- 特性: クロムとモリブデンの添加により、強度が向上し、硬度も高くなっています。
耐熱性の特性
SCM435は高温環境下での強度と硬さを維持できる耐熱性を持っています。
特性 | SCM435 |
---|---|
耐熱性 | 高 |
利点 | 高温強度、耐クリープ性、耐酸化性 |
用途 | ボイラー、圧力容器、タービン部品、航空機部品 |
詳細説明:
- 耐熱性: 高温環境下でも強度を維持し、長期間使用可能です。
- 利点: 高温における強度の維持やクリープ、酸化に対する耐性が優れています。
腐食耐性の特性
SCM435は高いクロム含有量により、優れた腐食耐性を持っています。
特性 | SCM435 |
---|---|
腐食耐性 | 高 |
注意点 | 塩水や酸などの腐食性環境では腐食が発生する可能性あり |
対策 | 腐食性環境での使用を避ける、表面の清掃、防錆処理 |
詳細説明:
- 腐食耐性: 大気中や水との接触には耐性がありますが、塩水や酸性環境では腐食が進む可能性があります。
- 対策: 適切な表面処理や防錆対策が推奨されます。
溶接性の特性
SCM435は優れた溶接性を持ち、さまざまな溶接方法に対応可能です。
特性 | SCM435 |
---|---|
溶接性 | 優れている |
溶接方法 | TIG溶接、MIG溶接、アーク溶接 |
注意点 | 予熱と後熱処理が重要 |
使用例 | 自動車部品、機械部品、構造物、化学プラント |
詳細説明:
- 溶接性: 高い強度と靭性を持ち、高温や腐食環境下でも良好な性能を維持します。
- 溶接方法: TIG溶接は高品質、MIG溶接は効率的、アーク溶接は低コストで対応可能です。
- 注意点: 予熱や後熱処理が必要であり、適切な溶接材料の使用が推奨されます。
SCM435はその優れた機械的特性と耐熱性により、多様な産業分野で広く利用されています。適切な使用方法と加工条件を理解することで、最大限の性能を発揮します。
SCM435の機械的性質の概要
SCM435は、クロムモリブデン鋼に分類される合金鋼です。優れた機械的特性を持ち、特に強度、耐摩耗性、耐熱性に優れています。このため、さまざまな産業分野で広く使用されています。
SCM435の機械的性質は、化学組成と熱処理によって影響を受けます。化学組成は、鉄、炭素、クロム、モリブデンなどの元素の含有量が、鋼の強度、硬度、靭性などの特性に影響を与えます。熱処理は、焼入れ、焼戻しなどの方法によって鋼の組織構造を変化させ、強度、硬度、靭性などの特性を調整することができます。
SCM435の一般的な機械的特性は以下のとおりです。
- 引張強度: 800~1200 MPa
- 降伏強度: 600~900 MPa
- 伸び: 12~20%
- 硬度: HB 200~300
- 耐熱温度: 500~600℃
SCM435は、優れた機械的特性に加えて、加工性にも優れています。このため、切削、曲げ、溶接などの加工が容易にできます。
SCM435は、その優れた特性から、以下の用途で使用されています。
- 自動車部品: ギア、シャフト、クランクシャフトなど
- 機械部品: ベアリング、歯車、カムシャフトなど
- 工具: ドリル、タガネ、レンチなど
- 建築物: 橋梁、建物構造物など
SCM435は、その優れた機械的特性と加工性から、さまざまな産業分野で広く使用されています。今後も、その需要は拡大していくことが予想されます。
クロムモリブデン鋼SCM435の特性
クロムモリブデン鋼SCM435は、高強度、耐摩耗性、耐腐食性、高温耐性、加工性に優れた合金鋼です。
主な特徴は以下の通りです。
- 高強度: 引張強さ1200MPa以上、屈服強さ900MPa以上と、一般的な炭素鋼よりも高い強度を持っています。
- 耐摩耗性: 硬度が高く、摩耗に強い性質を持っています。
- 耐腐食性: クロムが添加されているため、耐腐食性にも優れています。
- 高温耐性: モリブデンが添加されているため、高温でも強度を維持できます。
- 加工性: 熱処理や切削加工がしやすい性質を持っています。
これらの特性から、SCM435は、自動車部品、機械部品、工具、建設機械など、様々な分野で使用されています。
詳細については、以下をご覧ください。
- 高強度の利点
- 耐摩耗性の利点
- 耐腐食性の利点
- 高温耐性の利点
- 加工性の特性
高強度の利点
SCM435 クロムモリブデン鋼は、高い強度と耐摩耗性、そして耐腐食性を兼ね備えた鋼材です。その特性から、様々な用途で用いられています。
特に高強度の利点は、機械部品や構造物の材料として軽量化や小型化を実現し、安全性の高い製品の製造にも貢献しています。さらに、高い強度と耐摩耗性の組み合わせにより、工具や刃物などの摩耗が激しい用途においても長寿命化が期待されます。
SCM435 クロムモリブデン鋼は、その優れた特性から、今後も幅広い産業分野において重要な役割を果たしていくでしょう。
耐摩耗性の利点
SCM435 クロムモリブデン鋼は、優れた耐摩耗性を備えていることで知られています。これは、その組成に含まれるクロムとモリブデンのおかげです。クロムは鋼の表面に酸化膜を形成し、摩耗から保護します。一方、モリブデンは高温でも硬度を維持するのに役立ちます。
この優れた耐摩耗性により、SCM435はさまざまな用途に適しています。以下は、その一例です。
- ベアリング: SCM435は、ベアリングのボールやレースなどの摩耗しやすい部品に使用されます。
- ギア: SCM435は、ギアなどの高負荷がかかる部品にも使用されます。
- シャフト: SCM435は、シャフトなどの回転部品にも使用されます。
- 金型: SCM435は、金型などの摩耗しやすい部品にも使用されます。
SCM435の耐摩耗性は、他の多くの鋼種よりも優れた耐久性と耐用年数を提供します。これにより、メンテナンスコストの削減とダウンタイムの最小化につながります。
<耐摩耗性の利点>
SCM435の耐摩耗性は、長期間の使用においても高い性能を発揮するのに役立ちます。これは、さまざまな産業において重要です。たとえば、ベアリングやギアなどの部品が摩耗すると、機械の性能が低下し、故障が発生する可能性があります。SCM435を使用することで、これらの部品の寿命を延ばし、機械の信頼性を向上させることができます。
さらに、SCM435の耐摩耗性は、メンテナンスコストの削減にも役立ちます。部品が摩耗すると、交換が必要になることが多く、コストがかかります。SCM435を使用することで、部品の交換頻度を減らし、メンテナンスコストを削減することができます。
また、SCM435はダウンタイムの最小化にも役立ちます。部品が故障すると、機械の停止が必要になり、生産性が低下します。SCM435を使用することで、部品の故障を防止し、ダウンタイムを最小限に抑えることができます。
このように、SCM435の耐摩耗性は、さまざまな利点を提供します。これは、信頼性、耐久性、メンテナンス性の高い部品が必要な産業において重要な要素です。
耐腐食性の利点
クロムモリブデン鋼 SCM435 は、優れた耐腐食性を備えており、大気腐食、塩水腐食、化学薬品腐食など、様々な腐食環境で高い性能を発揮します。 このため、海水にさらされる構造物、化学プラントの機器、食品加工機器など、腐食が問題となる用途に適しています。 SCM435 の耐腐食性は、クロムとモリブデンが鋼に添加されていることで実現されており、不動態皮膜を形成して腐食から保護し、塩化物イオンに対する耐性も向上しています。 SCM435 は、海水にさらされても腐食速度が非常に遅く、塩酸や硫酸などの腐食性の高い化学薬品にも耐性があります。 また、食品加工機器に使用される場合、腐食によって食品が汚染されることはありません。 これらの理由から、SCM435 の耐腐食性は、多くの用途で重要な利点となっています。
高温耐性の利点
SCM435は、高温環境下でも高い強度、耐酸化性、耐クリープ性、高温疲労性を備えています。これらの特性により、SCM435は高温機器の製造に適しており、様々な分野で活躍しています。
- タービン
- ボイラー
- 熱交換器
- その他の高温機器
SCM435の高温耐性は以下の利点をもたらします。
- 高温環境下でも安全で信頼性の高い機器の製造
- 高温環境下での長寿命化
- 高温環境下でのメンテナンスコストの削減
SCM435は、高温環境下で優れた性能を発揮する合金鋼です。高温機器の製造に適しており、様々な分野で活躍しています。
加工性の特性
SCM435は、クロムモリブデン鋼の一種であり、高い強度と耐摩耗性を備えています。しかし、その硬度と強度の高さから、加工性がやや難しくなっています。切削加工を行う場合は、高性能な工具や適切な切削条件が必要となります。
加工性を向上させるために、以下の項目を考慮する必要があります。
- 工具の選択: 高硬度に対応した超硬合金工具を使用することが推奨されます。
- 切削条件: 切削速度を低く、送り速度を遅く設定することで、工具への負荷を軽減することができます。
- 冷却: 切削油やエマルジョンなどの冷却剤を使用することで、切削熱を抑制し、工具の摩耗を防ぐことができます。
- 熱処理: 焼入れや焼戻しなどの熱処理を行うことで、加工性を向上させることができます。
また、冷間鍛造や押出加工などの塑性加工にも対応していますが、加工硬化を起こしやすいので、加工条件の調整が必要となります。
SCM435の加工性は、その高い強度と耐摩耗性とトレードオフの関係にあると言えます。適切な加工方法を選択することで、SCM435の優れた特性を活かした製品を製造することができます。
SCM435Hの特徴と成分値
SCM435Hは、クロムモリブデン鋼の一種で、高い強度と靭性を備えた合金鋼です。 主な用途は、自動車部品、機械部品、工具などです。
SCM435Hの成分値は、以下の表に示されています。
成分 | 質量パーセント(%) |
---|---|
炭素(C) | 0.38-0.43 |
ケイ素(Si) | 0.15-0.35 |
マンガン(Mn) | 0.50-0.80 |
クロム(Cr) | 0.90-1.20 |
モリブデン(Mo) | 0.15-0.25 |
リン(P) | 最大0.035 |
硫黄(S) | 最大0.035 |
この成分値は、JIS G 4053に準拠しています。
SCM435Hは、炭素含有量の高いクロムモリブデン鋼です。 炭素含有量が高いことで、高硬度と高強度を実現しています。 また、クロムとモリブデンが添加されていることで、耐摩耗性と耐疲労性に優れています。
SCM435Hの化学組成は、以下の表に示されています。
SCM435Hの成分値詳細
SCM435Hは、鉄を主体としてクロム、モリブデン、炭素、マンガン、リン、硫黄、ケイ素などの元素を添加した合金鋼です。 SCM435Hの成分値は以下の表のとおりです。
成分 | 含有量(%) |
---|---|
C | 0.35-0.42 |
Si | 0.15-0.35 |
Mn | 0.5-0.8 |
P | 0.025 max |
S | 0.025 max |
Cr | 0.9-1.2 |
Mo | 0.25-0.35 |
これらの元素は、それぞれSCM435Hに以下の特性を与えます。
- クロム:耐摩耗性、耐食性、強度を向上させます。
- モリブデン:高温強度を向上させます。
- 炭素:強度と硬度を向上させます。
- マンガン:強度と靱性を向上させます。
- リンと硫黄:加工性を向上させます。
- ケイ素:強度と靱性を向上させます。
SCM435Hは、これらの特性により、自動車部品、機械部品、工具など、さまざまな用途に使用されています。
SCM435の化学組成
了解しました。ご指定の条件に従い、本文のみを出力します。
<SCM435の化学組成>
SCM435は、クロムとモリブデンを含有する合金鋼です。これらの元素の添加により、強度、靭性、耐摩耗性、耐熱性などの機械的特性が向上しています。SCM435は、自動車部品、機械部品、工具など、幅広い用途に使用されています。
SCM435の化学組成は、JIS G 4305で規定されています。
成分 | 質量パーセント(%) |
---|---|
炭素(C) | 0.38 – 0.43 |
マンガン(Mn) | 0.60 – 0.90 |
ケイ素(Si) | 0.15 – 0.35 |
クロム(Cr) | 0.80 – 1.10 |
モリブデン(Mo) | 0.20 – 0.30 |
リン(P) | 0.035 max |
硫黄(S) | 0.035 max |
成分 | 役割 |
---|---|
炭素(C) | 強度と硬度を向上させる |
マンガン(Mn) | 強度と靭性を向上させる |
ケイ素(Si) | 強度と耐熱性を向上させる |
クロム(Cr) | 耐摩耗性と耐食性を向上させる |
モリブデン(Mo) | 強度と耐熱性を向上させる |
リン(P) | 脆性を低減させる |
硫黄(S) | 切削性を向上させる |
SCM435の化学組成は、用途によって若干異なる場合があります。例えば、より高い強度が要求される場合は、炭素含有量を増加させることがあります。
SCM435Hの化学組成
SCM435Hは、クロムモリブデン鋼の一種で、炭素0.35%、マンガン0.70%、ケイ素0.25%、クロム1.00%、モリブデン0.20%を含んでいます。この合金は、強度、靭性、耐摩耗性に優れており、自動車部品、機械部品、工具などの用途に広く使用されています。
SCM435Hの化学組成は、JIS G 4054規格で規定されています。
SCM435Hは、他のクロムモリブデン鋼と比較して、炭素とクロムの含有量が高くなっています。これにより、強度と耐摩耗性が向上しています。また、モリブデンは、高温強度と耐熱性を向上させるために添加されています。
SCM435Hは、強度、靭性、耐摩耗性に優れているため、自動車部品、機械部品、工具などの用途に広く使用されています。具体的には、以下のような用途に使用されています。
- 自動車部品: ギア、シャフト、ベアリング
- 機械部品: 歯車、カム、ピストンロッド
- 工具: ドリル、タップ、フライス
- その他: ボルト、ナット、チェーン
SCM435Hは、他の一般的な鋼種と比較して、以下の利点があります。
- 高強度: SCM435Hは、他の一般的な鋼種と比較して、炭素とクロムの含有量が高くなっています。これにより、強度と耐摩耗性が向上しています。
- 高靭性: SCM435Hは、他の一般的な鋼種と比較して、靭性に優れています。これにより、衝撃や疲労に強い鋼材となっています。
- 耐摩耗性: SCM435Hは、他の一般的な鋼種と比較して、耐摩耗性に優れています。これにより、摩耗の激しい用途に適しています。
- 高温強度: SCM435Hは、モリブデンを添加しているため、高温強度と耐熱性に優れています。これにより、高温環境下で使用される部品に適しています。
SCM435Hは、その優れた特性により、様々な産業分野で重要な役割を果たしています。
SCM435とSCM420の特徴とは?
SCM435とSCM420は、どちらもクロムモリブデン鋼に分類される合金鋼です。クロムモリブデン鋼は、クロムとモリブデンを添加することで強度、耐摩耗性、耐食性、高温耐性を向上させた鋼です。
SCM435は、クロム含有量1%、モリブデン含有量0.25%の合金鋼です。SCM420よりも強度が高く、耐摩耗性にも優れています。また、耐食性、高温耐性も良好です。自動車部品、機械部品、工具など、強度と耐摩耗性が要求される用途に広く使用されています。
SCM420は、クロム含有量0.5%、モリブデン含有量0.2%の合金鋼です。SCM435よりも強度が劣りますが、加工性と靭性に優れています。また、耐食性にも優れています。刃物、バネ、ベアリングなど、加工性と靭性が要求される用途に広く使用されています。
<SCM435とSCM420の比較表>
項目 | SCM435 | SCM420 |
---|---|---|
クロム含有量 | 1% | 0.5% |
モリブデン含有量 | 0.25% | 0.2% |
強度 | 高 | 中 |
耐摩耗性 | 高 | 中 |
耐食性 | 良 | 良 |
高温耐性 | 良 | 良 |
加工性 | 中 | 良 |
靭性 | 中 | 良 |
用途 | 自動車部品、機械部品、工具 | 刃物、バネ、ベアリング |
SCM435とSCM420は、どちらもクロムモリブデン鋼に分類される合金鋼です。SCM435は強度と耐摩耗性に優れ、SCM420は加工性と靭性に優れています。用途によって適切な鋼を選択することが重要です。
SCM420とは?
SCM420は、クロムモリブデン鋼の一種で、硬度、強度、耐摩耗性に優れた特性を持っています。SCM435と同様に、自動車部品、機械部品、工具など幅広い用途で使用されています。
SCM420とSCM435の違いは、主にクロムとモリブデンの含有量にあります。SCM420はクロムを0.42%、モリブデンを0.20%含むのに対し、SCM435はクロムを0.43%、モリブデンを0.30%含みます。このわずかな違いが、両者の機械的特性に影響を与えています。
SCM420は、SCM435よりも硬度がわずかに高く、耐摩耗性に優れています。そのため、ベアリングや歯車など、高い負荷がかかる部品に使用されることが多くあります。一方、SCM435はSCM420よりも強度が高く、熱処理によって硬度を調整しやすいという特徴があります。そのため、シャフトやボルトなど、強度が重要な部品に使用されることが多くあります。
以下に、SCM420とSCM435の機械的特性を比較した表を示します。
特性 | SCM420 | SCM435 |
---|---|---|
硬度 | HRC60-62 | HRC58-60 |
引張強度 | 850-950 MPa | 800-900 MPa |
降伏強度 | 650-750 MPa | 600-700 MPa |
伸び | 15% | 18% |
SCM420とSCM435はどちらも、優れた特性を持ったクロムモリブデン鋼です。用途に合わせて、どちらを選択するかを検討する必要があります。
SCM435とSCM420の組織構造の違い
SCM435とSCM420は、どちらもクロムモリブデン鋼と呼ばれる合金鋼の一種です。クロムとモリブデンを添加することで、強度の向上、耐摩耗性、耐熱性、耐腐食性などの優れた機械的特性が得られます。
これらの鋼材は、組成、組織、特性がわずかに異なり、さまざまな用途に適しています。
組織構造の違い
組織構造とは、材料を構成する結晶粒子の大きさや形状、配列などのことです。組織構造は、鋼材の機械的特性に大きな影響を与えます。
SCM435は、焼入れ後に焼戻し処理を施した状態で使用されることが多く、その組織は主にマルテンサイトとフェライトで構成されています。マルテンサイトは強度と硬度に優れた組織ですが、脆性も高くなります。フェライトはマルテンサイトよりも強度が低くなりますが、延性があります。
SCM420は、SCM435よりも炭素含有量が低く、組織は主にパーライトとフェライトで構成されています。パーライトはマルテンサイトとフェライトが混合した組織で、強度と延性を兼ね備えています。
組織構造の違いによる特性の違い
組織構造の違いにより、SCM435とSCM420は以下のような特性の違いがあります。
特性 | SCM435 | SCM420 |
---|---|---|
強度 | 高い | 中程度 |
耐摩耗性 | 高い | 中程度 |
耐熱性 | 高い | 中程度 |
耐腐食性 | 中程度 | 高い |
延性 | 中程度 | 高い |
用途の違い
組織構造の違いにより、SCM435とSCM420は以下のような用途の違いがあります。
用途 | SCM435 | SCM420 |
---|---|---|
高強度が必要な部品 | ギア、シャフト、ベアリング | ボルト、ナット、工具 |
耐摩耗性が必要な部品 | 切削工具、金型 | ベアリング、歯車 |
耐熱性が必要な部品 | タービンブレード、排気バルブ | ボイラー部品、熱交換器 |
耐腐食性が必要な部品 | 化学プラント機器、海洋構造物 | 食品加工機器、医療機器 |
結論
SCM435とSCM420は、どちらも優れた機械的特性を備えたクロムモリブデン鋼です。組織構造の違いにより、それぞれの特性が異なり、さまざまな用途に適しています。
対照表
特性 | SCM435 | SCM420 |
---|---|---|
炭素含有量 | 0.33 – 0.43% | 0.18 – 0.23% |
組織 | マルテンサイト + フェライト | パーライト + フェライト |
強度 | 高い | 中程度 |
耐摩耗性 | 高い | 中程度 |
耐熱性 | 高い | 中程度 |
耐腐食性 | 中程度 | 高い |
延性 | 中程度 | 高い |
用途 | 高強度が必要な部品 | 耐摩耗性が必要な部品 |
SCM435とSCM420の使用用途の違い
SCM435とSCM420はどちらもクロムモリブデン鋼ですが、炭素含有量や機械的特性が異なるため、使用用途も異なります。
SCM435は、SCM420よりも炭素含有量が高く、硬度や強度に優れています。そのため、高強度が要求される機械部品、耐摩耗性が求められる部品、高温環境下で使用する部品などに使用されます。具体的には、自動車のシャフトやギア、ベアリング、工具、ダイカスト金型などが挙げられます。
一方、SCM420は、SCM435よりも炭素含有量が低く、加工性や靭性に優れています。そのため、加工性が求められる部品、靭性が重要視される部品、比較的低強度で十分な部品などに使用されます。具体的には、ボルトやナット、スプリング、シャフト、歯車などが挙げられます。
以下は、SCM435とSCM420の主な違いをまとめた表です。
特性 | SCM435 | SCM420 |
---|---|---|
炭素含有量 | 0.40~0.50% | 0.30~0.40% |
硬度 | HRC 35~45 | HRC 25~35 |
強度 | 高 | 中 |
加工性 | 中 | 良 |
靭性 | 中 | 良 |
SCM435とSCM420はどちらも用途に応じて使い分ける必要があります。高強度が求められる場合はSCM435、加工性や靭性が求められる場合はSCM420を選択するのが一般的です。
まとめ
SCM435は、強度と耐摩耗性、耐腐食性を備えたクロムモリブデン鋼です。その用途は、自動車部品から機械部品、航空機部品まで多岐にわたります。SCM435Hは、高温耐性を持つバリエーションです。SCM435とSCM420の主な違いは、炭素含有量です。SCM435は炭素含有量が高いため、SCM420よりも強度が高くなっています。SCM435は一般的に構造用鋼として使用され、SCM420はベアリングやシャフトなどの用途に使用されます。