研削と研磨の違いを正しく理解するための実務ガイド|加工精度・工具・用途を徹底比較

研削と研磨の役割の違い
研削と研磨はどちらも表面を滑らかにする加工ですが、目的・除去量・形状精度が根本的に異なります。まずはそれぞれの役割を明確に理解することが、最適な工程設計につながります。
| 項目 | 研削 | 研磨 |
|---|---|---|
| 目的 | 精密な形状精度の確保、加工寸法の追い込み | 表面粗さの改善、光沢・外観の向上 |
| 除去量 | 大きい(数µm〜数十µm) | 小さい(0.1〜数µm) |
| 仕上げ精度 | 高い(Ra 0.2〜0.8) | 非常に高い(Ra 0.05〜0.2) |
| 工具 | 砥石(WA、GC、CBN、ダイヤ) | バフ、研磨布紙、研磨スラリー |
| 主な用途 | 平面研削、円筒研削、工具再研磨 | 鏡面仕上げ、光学部品、外観要求部品 |
研削(Grinding)の基礎と工程要素
研削は、砥石を高速で回転させて金属を一定量削り取る工程です。砥粒の切れ刃が多数存在するため、工具の寿命が長く、加工寸法を高精度に追い込むのに適しています。
研削で重要となる加工条件
- 砥石の粒度(#46〜#400程度)
- 砥石の結合剤(ビトリファイド・レジノイド・メタル)
- 周速度(20〜35m/s)
- 切込み量(1〜10µm)
- 送り速度(50〜300mm/min)
研削では、砥石の表面状態が加工品質に大きく影響します。そのため、ドレッシング(目立て)やツルーイング(真円修正)が必須となります。
研削で得られる表面粗さ
一般に以下の範囲が目安となります。
平面研削:Ra 0.2〜0.6 円筒研削:Ra 0.3〜0.8 工具研削:Ra 0.2〜0.4
研磨(Polishing)の基礎と表面仕上げの考え方
研磨は、研削よりさらに微細な量を削り取り、表面粗さを極限まで小さくする工程です。特に光沢仕上げや鏡面仕上げが求められる部品では必須となる最終工程です。
研磨で使用する主な工具
- 布バフ(綿バフ・ネルバフ)
- フェルトバフ
- 研磨布紙(#400〜#8000)
- ダイヤモンドスラリー
研磨で重要な加工要素
研磨工程は加工者の技術に頼る部分が大きく、以下の要素が仕上がり品質を左右します。
- 研磨方向の統一
- 番手の順番(#400 → #800 → #1500 → #3000)
- 研磨力と接触時間のバランス
- 熱の発生による焼け・変色の抑制
研磨で達成される表面粗さは以下の通りです。
標準研磨:Ra 0.1〜0.2 鏡面研磨:Ra 0.02〜0.05
研削と研磨の選定基準
両者の使い分けを誤ると、加工時間の増加や不良発生のリスクが高まります。以下に選定基準を整理します。
加工寸法が重要な場合
→ 研削を優先
表面粗さや外観が重要な場合
→ 研磨を優先
曲面・複雑形状の仕上げが必要な場合
→ 研磨または最終バフ仕上げが有効
精度と外観を両立したい場合
→ 研削 → 研磨の2段階工程が最も安定
よくある質問
研削・研磨の工程設計の実務ポイント
ここでは、現場で最も重要となる工程設計のポイントをまとめます。
ポイント1:除去量の管理
研削:数µm単位で管理
研磨:0.1〜1µm単位で管理
ポイント2:熱影響の抑制
研削焼けの防止には十分なクーラント量が必須です。
ポイント3:番手の飛ばしをしない
研磨の番手を飛ばすと深いスクラッチが残り、後工程で消えません。
ポイント4:加工基準面を常に意識する
基準面が狂うと、最終寸法が大きくズレます。

