工業用途で使われる金属材の種類と特性を正しく理解するための完全ガイド

工業で使用される主要な金属材の分類

工業用途で使用される金属材は、成分特性に応じて大きく以下のように分類されます。

• 鉄鋼（炭素鋼、合金鋼、ステンレス鋼）
• 非鉄金属（アルミニウム、銅、チタン、マグネシウム など）
• 高温強度材・特殊鋼

これらの分類の基礎的な定義については、JIS規格でも詳しく整理されています。金属材の比較を行う際、まずはこの分類から特性を把握することが第一歩となります。
また、炭素鋼の種類ごとの加工特性については 炭素鋼の材質選定に関して解説 で詳しく解説しています。

鉄鋼と非鉄金属の基本的な違い

鉄鋼は強度や熱処理性に優れ、構造部品に広く利用されます。一方で非鉄金属は軽量性や耐食性など鉄鋼にはない特性を持ち、電子部品や自動車の軽量化部品に採用されます。

鉄鋼材料の種類と工業用途での特徴

炭素鋼（SS材・S45Cなど）

炭素鋼は最も使用量の多い一般的な鉄鋼材料で、機械構造用から建築用途まで幅広く利用されます。炭素量に応じて強度・硬さ・加工性が変化する点が特徴です。
以下は炭素鋼における炭素量と主要特性の関係です。

ステンレス鋼（SUS304・SUS316など）

ステンレス鋼は耐食性を重視する用途に適しており、食品機械、医療装置、化学プラントなどに広く採用されます。具体的な特性の比較は以下の通りです。

ステンレスの加工変形や熱膨張を考慮した設計については ステンレス鋼の加工特性に関して解説 で詳しく解説しています。

非鉄金属の種類と工業用途での特徴

アルミニウム

アルミニウムは軽量・耐食性・加工性に優れるため、自動車、航空機、電子機器の筐体など幅広い用途を持ちます。

銅および銅合金

銅は電気伝導性と熱伝導性に優れ、電気部品・熱交換器・精密部品に利用されます。黄銅（真ちゅう）・青銅などの合金種類も豊富で、用途に応じた選択が可能です。

チタン

チタンは軽量かつ高強度で、さらに耐食性にも優れています。航空機部品、医療インプラント、耐食性が求められる化学プラントで利用されます。

よくある質問

材料選定の実務ポイント

工業製品の材料選定において重要となるのは、以下の要素です。

• 必要強度と使用環境（温度・腐食・負荷）
• 加工方法（切削・鍛造・溶接）
• 品質要求とコストバランス
• 表面処理や熱処理の必要性

特に、環境要因による腐食や摩耗は製品寿命に直結します。材料特性に加えて、表面処理や防錆対策を組み合わせることで、より機能的な設計が可能になります。